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 第 三 話

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   「学年違うけど、このメンバーを成績順に言ったら、葉子と山岡君がダントツだからね。
    ヒロ君と私なんて、どうせ並レベルですよ〜」

私が冗談交じりに口を尖らせた。  

  「コレコレ、アカ。この男と私を同類にしないでおくれよ」
  「葉子先輩と、トシって、二人とも学年トップクラスじゃないですか?」

葉子の反論に対して、更にヒロ君が返した。  

  「ちが〜うのっ!私の成績は自分自身の努力によるもの、塾だって真面目に通ってるし、
   自習だって、みんなの何倍もやってるわけよ。でもでも、この男の成績はほぼ天賦の才ってもんよ!
   こら、トシ!ヒロのケーキ横取りしようとしてないで、昨日の放課後に何やってたか、言ってみぃ?」
  「えっ!?あっ!おい!トシ!俺のケーキだぞ!」
  「・・・モグモグ・・・昨日?家に帰ってからは、ずっと読書に明け暮れていたぞ?」
  「何の本よ?」
  「・・・光田可南子の写真集」  


一瞬の静寂が辺りを包む。

  「エロ本やんけーっ!!」

バシッ!葉子の唐竹割りが山岡君の脳天を直撃した。  

  「っ痛ええぇえっ!!」
  「だからアンタはむかつくって言ってるんよ〜!!」
  「エロ本じゃない!グラビア写真集だ!」
  「どっちも同じじゃ〜!!」
  「昨日の英語・・・事前勉強無しで挑むなんて・・・やっぱトシの頭は出来が違うんだな」  
   葉子と山岡君の押しも押されぬ漫才トークを前にして、ヒロ君がボソリと呟いた。  

  「まっ。まぁまぁ。テストの話はそれくらいにしておこうよ。憂鬱になるだけだしさ。
   ・・・今はそうだなぁ。 もう少ししたら始まる春休み、何して遊ぶか予定でも立てない?」  
   私は両手を手前でヒラヒラさせて、場を取りもとうとした。  

  「春休み!そうそう!私とアカ的に、4月から受験受験で周りがうるさくなるからねぇ。
   最後の息抜きに色々楽しんでおかなきゃ!」
  「・・・調子のいい奴・・・」
  「トシ〜私の怒りの矛先が変わっただけ、ありがたいと思えよ〜」
  「とは言っても、明日から答案返ってくるから、また現実に引き戻されるんだよな〜」


ヒロ君がまたテストの話に戻した。

「現実に引き戻される」そう言った。  


ザッザッ・・・。足音が近づいてきた。確実にこちらに向かっている。
私は現実に引き戻された。



− 第三話 終 −
 

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