トップページ
ニュース
商品情報
シュラキとは
ショートエピソード
ラジオ用番外編
キャスト・スタッフ
お問い合わせ
リンク
制作秘話
関連商品
   
ラジオ用番外編
 
智一・美樹のラジオビッグバン』(日曜日:25:30〜26:00 / 文化放送) の番組内で、関智一さんが朗読しているものをテキストにまとめたものです。
 
05/06 05/1305/2005/2706/0306/1006/1706/24 07/0107/0807/1508/12
08/1908/2609/0909/16@09/16A

シュラキ外伝 「木漏れ日の神子(かみこ)」

8月19日放送分 : 第 十三 話

 

朱羅姫。舞い踊るように闘う、朱色の姫。一族の中で朱羅姫に目覚めるのは女性のみ。
武器・神薙の刃(かんなぎのやいば)を手に取り、衣装・天涙の衣(てんるいのころも)を 身に纏い、互いに戦い合う女達。

あの場から逃げ出す時、遠めに焼き付いていた伽乃の姿に、その言葉が相応しいと思った。
あの時彼女が背中取り出していた棒状のものは、武器だったのだろうか。

「しゅら…き」

「なんじゃ…知っておったのか」

「と、伽乃?」

あの場に戻ろうと決心したその時、茂みの暗がりからフラリと姿を現したのは、伽乃本人であった。

「お、お前いつの間に!?それよりも、だ、大丈夫だったのか?」

「ふふん。だから私は」

彼女は鼻で笑うと、心配する私など意に介さない様子でいつもの台詞を吐いた。
自分は無敵だと。これまで伽乃は、度々傷を追い、血を流していた事があった。
よくも抜け抜けとそんな事が言えるものだ。

「なぁ。そろそろ話してくれて、いいだろう?」

「ん?知っているような口ぶりだったのは、お前の方ではないか」

「私はこれまで研究機関で、日本の古来から根付く伝承を調査していたんだ。
そこで知ったのが、朱羅姫と朧神の話だった、というだけさ」

「ふむ…なるほど、何の因果かのう…」

伽乃は花壇に咲き始めた紫陽花に目を向け、一人頷きながら呟いた。
なかなか口を開こうとしない。

「…あの軍服の女も、朱羅姫、なのか?」

「あれは一族の末端、朱羅姫などではない。政府の犬に過ぎんわ」

「じゃあお前はこれまで何と戦い、傷ついてきたんだ?」

「…知らぬ方が良いと言ったではないか。まぁもう手遅れ、か」

ようやく諦めがついたのだろう。彼女の口が開こうとした矢先。

「ごほっ!ごほっ…!くっ…」

急に咳き込み出した。押さえる掌に落ちたのは、紛う事無き鮮血の朱色であった。
 

← 第 十二 話 : 8月12日放送分 第 十四 話 : 8月26日放送分 →

RED ENTERTAINMENT  GOODSMILE COMPANY
© RED 2007 © GOOD SMILE COMPANY 2007