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ラジオ用番外編
 
智一・美樹のラジオビッグバン』(日曜日:25:30〜26:00 / 文化放送) の番組内で、関智一さんが朗読しているものをテキストにまとめたものです。
 
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シュラキ外伝 「木漏れ日の神子(かみこ)」

7月1日放送分 : 第 九 話

 

「じゃあ…行ってくるよ」

「道中気を付けよ」

なんだろう、この妙な感覚は。
毎朝出かける際に一言掛け合うだけで、気持ちが安らぐ。

その効果なのか、私は以前にも増して研究に情熱を注ぐようになり、同時に驚くほどの進展を見せ始めた。
同僚である老獪達も様子の変化にすぐ気付き、私の変貌ぶりに皆舌を巻いた。


そんなある日の事。伝統芸能・神楽について調べていくうちに、
とある里神楽(さとかぐら)でおかしな記述を見つけた。

「む…これは…誤字か…?いや…えんぶ…?変だな」

「演じる」に、舞い踊るの「舞う」と書いて「演舞」のはずが、
何故か「えん」という字を「焔(ほのお)」と書いている。
しかも何度も。これは…何かある。直感的にそう思った。
そして関連した資料をあさるうち、殊更に目が止まる一文を見つけたのだ。


朱ノ理ヲ其ノ身ニ受ケシ女児、 阿修羅ノ如キ形相ヲシテ、互イニ血ヲ求メル鬼ト化ス。


「朱の理…?鬼?」

こうして私は一つの岐路にたどり着く。
その資料は、神楽の「朧(おぼろ)の曲」という演目を元にしたもので、
婀娜(あだ)と呼ばれる土地の、過去の伝承を綴ったものだった。


今は昔、室町時代後期。戦国の世。
享禄三年の冬、婀娜(あだ)の土地に 朧神(おぼろがみ)と呼ばれる巨大な怪物が現れた。
朧神は土地を荒らし、人々は悲しみに打ちひしがれたが、 しばらくして怪物の意外な性質が明らかになる。
襲うのは基本的に男性のみで、女性を全く襲わないのだ。
それを知った婀娜の民は、腕の立つ女性を数人集め、見事討伐に成功したのだった…。


「ただい…帰ったぞ…えっ!」

自室にあったのは、腹部から血を流し、倒れこむ伽乃の姿だった。
 

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